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ダイヤモンド社の『地球の歩き方』はカバーしているエリアの広さや情報量の多さにおいて群を抜いており、世界でも屈指の旅行ガイドブックだと思っています(ベストではなくてもベターなのはまちがいない)。
大学生だった約40年前、まだ評価の定まっていなかったこの本を持ってヨーロッパに行きました。そのころはアメリカ人著者による『ヨーロッパ1日10ドルの旅』が貧乏旅行者のバイブルとして有名だったのですが、2冊を見比べながら旅を続けたところ、結果は『歩き方』の圧勝! 以来、新しい国に行くときには必ず買っていますし、古い版も記録用に捨てずにいます。
そんな『歩き方』も完全ではないので、けっこう重要な情報をスルーしていることがあります。ラオス編における「正月」に関する記述はその一例でしょう。書かれている内容を整理するとこうなります。
・ラオスには3回正月があり、4月中旬のラオス正月(ピーマイ・ラーオ)がもっとも盛大。
・ピーマイ・ラーオ前後はみんな浮き足立ち、スケジュールどおりに物事が運ばなくなる恐れもある。
・ピーマイ・ラーオのあいだは家族や友人と連れだって寺院にお参りし、持参した花びらと香水入りの水を仏像にかける。
・ピーマイで忘れてはいけないのが「水かけ」。観光客もターゲットになる。一番暑い時期だけに、暑さを楽しむひとつの方法のようにもみえる。
ここから読み取れるのは、比較的、穏やかな正月の風景です。しかし、そんな甘いものではありません。
サイトの写真のページでも書いている通り、僕はたまたまラオス正月の前夜にビエンチャンに到着しました。『歩き方』は用意していたものの、注意喚起はしていなかったので、現地で日本人リピーターに教えてもらうまで気づかなかったのです。ちなみに、2019年のピーマイ・ラーオは4月15、16、17日でした。年によって数日ずれるそうなので、ラオスに行かれる方は必ずチェックしてください。
この3日間、ラオス国内がどうなるかというと、ビエンチャンについていえば、最初の2日間はほとんどの店が閉まります。つまり、買いものも食事も簡単にはできないのです。3日目からは少しずつ営業を始める店がありますが、まだ限定的であり、あまり期待しないほうがいいでしょう。通常営業に戻るのは翌日以降です。
問題の「水かけ」ですが、ピーマイ・ラーオの初日と2日目はかなり派手にやられます。特に外国人観光客は標的になりやすいので、濡れたら困るものは持ち歩かないでください。まじめな話、昼間のピークの時間は外出さえしたくなるほどです。
とにかく3日間はかなり不自由な生活を強いられるので、短い旅程を組んでいるならこの期間は避けてください。祭りを体験できるのは貴重だとしても、ラオスそのものを味わえないからです。1週間以上、滞在できるなら、この時期を加えるのはありです。水かけも覚悟していれば楽しいし、ふだん入場料を取るお寺も正月中はただで入れるので、散策はしやすくなります。
ピーマイ・ラーオの時期に旅行するのであれば、ホテルはベストウェスタン ヴィエンチャン一択だと思います。前の通りは、今、ビエンチャンでもっとも外国人観光客が多いところなので、正月中もほとんどの飲食店が営業しています(昔はナンプ広場周辺が人気でしたが、今は寂れているので避けたほうがいいです)。近くで開かれる夜市もやっているので、この時期、唯一、賑やかな場所でしょう。通りにある飲食店はだいたい行きましたが、競争が激しいエリアあけにどこも親切で、まあまあリーズナブルだと思いますね。ラオスの伝統料理を出す店からビアレストラン、石窯ピザ屋、カジュアルなフランス料理店など多様で、食べ歩きが楽しめます。
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